コスト(ろん) [編集]

カードデザインの基準となっていると考えられる、コストパワー、及びコスト対能力の関係性のこと。
また、これの優劣をコストパフォーマンスと呼ぶ。

あくまで複数のカードの法則性からプレイヤーが推測した考察であり、公式から明言されているものではない。が、上位互換下位互換の判断基準になることをはじめとして、カードの強さについて考える際にはしばしば用いられる考え方である。

基準値(コスト対パワー) [編集]

単色クリーチャーのパワーは基本的に、「マナコスト×1000」でその基礎パワーが決まっている。
ただし、コスト帯によっては計算式が異なってくる。

コスト0「−4000−(文明補正)=−5000」?《ゾンビポンの助》
コスト1(コスト)×1000−1000+(文明補正)
コスト2〜5(コスト)×1000
コスト6〜5000+((コスト)−5)×2000

クリーチャーのパワーは、ここから後述の「能力別コスト論」によって、能力に応じて差し引きされて決まると考えられる。

ただしこれは初期の基準であり、後述するようにこの値は年々変化している。

  • 元々は「計算式で求まるパワー」=「バニラクリーチャーのパワー」だったが、時代が進んだ結果「計算式で求まるパワー」≦「バニラクリーチャーのパワー」となった。
    • 何かしらの能力を持つクリーチャーは、計算式で求まるパワーから加減算してパワーが設定されることが多い。
    • いかにバニラとはいえ、ゲームバランスを破壊しそうなクリーチャーは登場していない。理論上は、自然には「コスト1、パワー1000、バニラ」というクリーチャーが存在できることになるが、DM23-RP3までそのようなカードは未登場であった。
      しかしついにDM23-RP4でコスト1・パワー1000バニラとして《忍式の聖沌 y4kk0》が登場。その特徴は公式でも推しているポイントである。純粋なパワーで自然文明に後れを取っていた光文明での登場となった。

詳細 [編集]

計算上、コスト1のバニラクリーチャーはパワーが0になる。
文明は「通常のパワーに500追加されることがある」特徴により、《予言者クルト》等のコスト1パワー500のバニラが存在している。その延長線上でパワー1000の《忍式の聖沌 y4kk0》も許されている。

それ以外の文明では、何かしらデメリットを持つもの(《凶戦士ブレイズ・クロー》など)か、パンプアップを持つもの(《勇気の爪 コルナゴ》など)しか存在しない。

6コストからは1マナごとにパワーが2000ずつ増えて6コストパワー7000が基準となる。(>6マナ以上優位の法則

能力別コスト論 [編集]

なんらかのメリット能力を持つクリーチャーは、能力を持たないクリーチャーに比べてパワーが低いことが多い。デメリット能力を持つクリーチャーは逆に高いことが多い。
あるいは、パワーは同じだが、能力の有無とその内容によってコストが異なる場合もある。

この「1つの能力に対してどれだけコストまたはパワーが修正されるか(補正値)」を考察したのがコスト対能力のコスト論である。
以下は、各能力が持つ補正値の考察となる。

コスト-2またはパワー+2000 [編集]

コスト-1(またはパワー+1000) [編集]

コスト0 [編集]

※1:コスト0かつ、バニラが持ちうるパワーも持っている。

※2:コスト0かつ、バニラが持ちうるパワーも持っている。DMRP-05時点ではコスト0でバニラと同じパワーにはならないように計算がされていた(コスト4・パワー4000にマッハファイターが付いた《いのししとう》

※3:《「俺」の頂 ライオネル GS》のように、G・ストライク獲得によって別の性能が失われ、劣化点が目立つケースも存在する。
《フェアリー・Re:ライフ》に関しては、「いかにバニラとはいえ、ゲームバランスを破壊しそうなクリーチャーは登場していない」ということで説明できる。理論上は《フェアリー・ライフ》G・ストライクを付けることが可能でも、ゲームバランスを考えれば存在が許されなかったのだろう。

コスト+1またはパワー-1000 [編集]

バニラ《ノウメン》《破界の右手 スミス》準バニラ《イズモ》システムクリーチャー《ヤッタレマン》など、コスト+1またはパワー-1000がないカードも多い

コスト+1.5前後 [編集]

能力名参考にしたカード
キャントリップ《アクア・ハルカス》《クゥリャン》《ガード・グリップ》1枚あたり1コスト
2枚以上のドロー《エナジー・ライト》1枚あたり1.5コスト
《トリプル・ブレイン》1枚あたり約1.67コスト
《王立アカデミー・ホウエイル》1枚あたり約1.33コスト
+  初期のころはドローのコストは軽視されていた

コスト+2またはパワー-2000 [編集]

コスト+3またはパワー-3000 [編集]

進化クリーチャー [編集]

同じコストの非進化クリーチャーから+4000されたものが基本と思われる。
ただしDM-04という初期に存在した《聖霊王アルカディアス》呪文ロック能力を持ちながら、想定される基礎パワーよりも高い数値になっている。進化元のコストが全体的に高いためであろう。

進化クリーチャーコスト論の計算
《魔翼虫ジェノサイド・ワーム》7000(コスト6)+4000(進化)=11000
《守護聖天ラディア・バーレ》7000(コスト6)+500(光)+4000(進化)-2000(攻撃可能ブロッカー)=9500
《クリスタル・ランサー》7000(コスト6)-1000(水)+4000(進化)-2000(ブロックされない)=8000
《護りの角フィオナ》7000(コスト6)+4000(進化)-2000(鳴動するギガ・ホーン)=9000
《超巨岩獣ドボルガイザー》7000(コスト6)+4000(進化)-3000(3000火力)=8000
《機神装甲ヴァルカイザー》5000(コスト5)+4000(進化)-4000(4000火力)=5000
《聖天使クラウゼ・バルキューラ》7000(コスト6)+500(光)+4000(進化)-4000(ムーンライト・フラッシュ)=7500

《クリスタル・ランサー》はパワーが-1000されているが、水文明だからというより大型でアンブロッカブルであることのシナジーが優秀だったから(加えてレアリティもアンコモンである)ことが理由の可能性もある。

その他 [編集]

コスト論の変遷 [編集]

コスト論の変遷とはインフレの歴史でもあり、そちらも合わせて参照のこと。
比較を容易にするため、バニラ準バニラクリーチャーおよび火力呪文をメインに解説する。

基本セット闘魂編 [編集]

初期の頃のまたはバニラは基準よりパワーが1000小さいことが多かった。同じく能力を持ったカードでも、これらの文明のものは他の文明よりパワーが低めに設定されていると見られるものが散見された。
においても、上の2文明ほど例は多くないが、《ドラグライド》《ブルーザー・ドラゴン》のようにコスト×1000のパワーを持ちながらデメリットがつけられているクリーチャーも存在した。

《凶闘の魔人ギリエル》《グラディアン・レッド・ドラゴン》に見られるように、コスト8〜10においても単純に「5000+(コスト)−5)×2000」の式に沿ったファッティが登場していた。

また火力呪文《クリムゾン・ハンマー》《トルネード・フレーム》に見られるようにコスト×1000、S・トリガーを持つものはさらにコスト+1が基準だった。

聖拳編 [編集]

DM-10で8コストの従来のコスト論を上回る《不落の超人》が登場。ここから8コスト以上のカードは13000あたりが基準となってくる。
DM-11で7コストの従来のコスト論を上回る《ダブルソード・レッド・ドラゴン》も登場している。

だいたい、基準よりパワーが500から1000程度大きいものも出てきている。8コストを超えた辺りから、さらに開きが大きくなっていく傾向にある。

極神編 [編集]

再び、多色カードがプッシュされたシリーズだが、単色カードが主に従来のコスト論を上回っているものが多かった。

《ボルシャック・大和・ドラゴン》《封魔妖スーパー・クズトレイン》《スーパー・スパーク》《ダイヤモンド・ソード》など、コスト2相応減少しているカードも見られる。

このシリーズから、《アクア・スーパーエメラル》のように、ブロッカー能力がコスト論の清算に入っていないようなカードが見られるようになる。

戦国編 [編集]

DM-28にて、バニラで従来のパワーを上回る《霊騎デュナス》が登場。パワーの基準が上がっていることがより明確になった。
ここから自然は他文明に先んじてパワーの高いバニラを輩出するようになる。

またDM-29では《緑神龍ディルガベジーダ》が登場。従来のコストパワーコスト能力の差し引きでは考えられないようなパワーを持っており、この辺りのコスト帯のコスト論はやや曖昧になってきている。

エピソード1エピソード2 [編集]

コスト5でデメリットを持たないながらW・ブレイカーとそれに値するパワーを持つ《緑神龍カミナリズム》、従来の単純な火力呪文にS・トリガーがそのまま付いたようなスペックの《メリコミ・フィスト》などが登場し、初期の頃と比べるとパワーが1000ほど高いのは当たり前になっていった。
コスト10では《偽りの名 13》が登場し、パワーが24000を超えるとワールド・ブレイカーが付けられることが示されるのと同時に、この辺りのコスト帯はパワーが24000に届くか、そうでなければそれに値する強力な能力を持つかというのが基準になっていった。

また、この頃は「ブレイカー能力を持たないことでそれをデメリットとして計算した」かのようなカードが登場している。《激竜王》はその代表。

エピソード3 [編集]

パワーアタッカー+1000000を持つ《百万超邪 クロスファイア》が登場。これ以前にカードに書かれる数値は5桁までしかなく、厳密な数値の意味が薄れてきていると見られる。
ただし、パワーアタッカーは単純なコスト論に当てはめるのが難しい能力であり、擬似的なすべてのバトルに勝つ能力と考えれば、さほどコスト論を逸脱しているわけでもない。このカードを皮切りに、パンプアップに関しては既存のコスト論に囚われないべらぼうな数値を持ち、火力どころか確定除去同然のものがアウトレイジを中心に多く登場し始めた。わずか4コストかつG・ゼロを持ちながらパワーアタッカー+1000000を与える《秘密結社アウトレイジ》はその代表と言える。

新章デュエル・マスターズ超天篇 [編集]

《ツリンボー・ファイアー》《フライパン・マウンテン》などに見られるように、火力の基本的な威力がさらに1000上昇した。
またこの頃の自然文明は「パワー12000以上」という条件がプッシュされており、それに伴って「既存のコスト論では届かないはずのパワー12000に、多少コスト論を無視して届かせている」ようなクリーチャーが散見される。《デデカブラ》などが特に顕著。
超天篇ごろになると、他の文明にもコスト論を無視してパワー能力が強力なクリーチャーが登場し始める。それらの多くは無条件で攻撃できないデメリットを持っており、コスト論が単純な「コストを取るか、能力を取るか」だけではなくなり始めている。

十王篇王来篇 [編集]

DMRP-13にて《赤攻銀 ヴォタル》をはじめとするバニラ準バニラサイクルが登場。いずれも各文明のそれまでのバニラ準バニラを明確に上回った数値を持ち、この頃の「『バニラ』『準バニラ』という性質」に対するコスト論の基準が見受けられる。
また、光もしくは自然を含む多色コスト4に、メリット能力を備えたW・ブレイカーが登場している。《緑神龍カミナリズム》登場時のように、コスト論の基準が更新されたと考えられる。

この頃まで高速化が続いていた影響か、《新爆竜 GENJI・XX》《至宝を奪う月のロンリネス》など強力な能力を持っている中量級の場合でも当然のようにパワーが高く設定されている。また、それ以上のコストのカードは《聖魔連結王 ドルファディロム》など、さらに顕著にカードパワーが上昇、かつパワー差が曖昧化している。
《大樹王 ギガンディダノス》《禁断竜王 Vol-Val-8》などのパワーは、もはやコスト論で考える事が無意味なほど。
《戯具 ザンボロン》《とこしえの超人》など、攻撃できない低コスト帯クリーチャーの数も続々と増加している。多色単色を問わず、はるかにコスト論の計算の閾値は低くなっている。

ゴッド・オブ・アビスアビス・レボリューション [編集]

主役級カードである《アビスベル=ジャシン帝》コスト4にしてW・ブレイカーとそれに達するパワー、加えて複数の能力持ち。
単にコストパフォーマンスインフレしただけでなく、フィニッシャー級のカードが4コスト帯まで降りてきているのがわかる。ただし《ジャシン帝》は自軍サポートの側面が強く、同期のタマシード/クリーチャーコストに対するパワーの高さを発揮するには自軍を揃えないといけないなど、フィニッシャー格のカードのあり方自体が変化してきており、今までのカードと一概に比較はできない。タマシード/クリーチャーをはじめとして、デメリットと引き換えにパワー能力がコストに対して強力なカードが増加している事からもその傾向は見て取れる。
コスト5以上は当たり前のようにW・ブレイカーを持つカードが登場している。それ以上のコスト帯のインフレは言わずもがなであり、代表例として7マナ《強振の超人》は16000のT・ブレイカーを、8マナ《首領竜 ゴルファンタジスタ》は25000のワールド・ブレイカーをそれぞれデメリットなしで持っている。
3マナ以下においても、《襲撃者 「鎧」ドライブ》に代表されるように少しずつコスト論のインフレが進んでいる。

王道篇 [編集]

王道篇時点では既に4コストW・ブレイカーで環境に通用するメリット能力持ちはもはや当たり前になりつつある。1コスト帯においても《轟神ボボボロック》《霊淵 アガルーム=プルーフ》などのように、フルスペックでなくとも普通に使える上にフルスペックがとても1コストでは効かないほど高いものが目立つようになった。

コスト論の考え方 [編集]

先述の通りコスト論は一部のカードから得られる考察であり、すべてのカードがコスト論に合致するように作られているわけではない。
初期はともかく、年が経つにつれて上記のようなコストパワー能力の釣り合いは見出しづらくなってきている。これはインフレによってより強いカードが登場するのみならず、時おりわかりやすい下位互換完全下位互換(例えば《黒神龍パープル・ランブル》など)が登場することからも見て取れる。また、カードプール内でのシナジーを考慮して、意図的にコストパフォーマンスを低く設定されて作られたと思われるカードが登場することもある(例えば《ヘブンズ・ゲート》が存在する上での《白騎士の精霊アルドラ》)。

インフレが進み、黎明期のコスト論が通用しなくなった今では、他のカードと見比べて、相対的な視点でコスト論の査定が行われることが多く、コストが高いカードほどその相対的な査定すら難しくなっている。

コスト論が強さのすべてを表すわけではなく、コスト論では適正値を上回っているわけではないのに強力なカードも多数存在する。
例えば、黎明期では、《クリスタル・ランサー》がその代表例で、ブロックされない能力とW・ブレイカーが見事なシナジーを形成し、バトルゾーンに居続ける限り、毎ターン確実に相手のシールドを2つ削ってくれるハイスペックビートダウン性能を抱えていた。

革命ファイナルでも、《絶叫の悪魔龍 イーヴィル・ヒート》は能力とパワーだけで見たらコスト論を上回っておらず、むしろインフレが進んだ革命ファイナルでは地味な能力ではあったが、能力種族が、侵略革命チェンジ能力と絶大なシナジーを形成していたがために、殿堂入りを余儀なくされるほど強力なスペックを誇っていた。

手札マナなどリソースに関係するカードの場合尚更である。
例えば《スケルトン・バイス》(コスト4)の効果は《ゴースト・タッチ》(コスト2)を2倍にしただけの物で適正値だがプレミアム殿堂となっており、2023年現在も復帰を許されていない。
逆に《エナジー・ライト》を2倍にした《クアトロ・ブレイン》はほとんど使われることがなく、元プレミアム殿堂《サイバー・ブレイン》からS・トリガーを外しただけの《王立アカデミー・ホウエイル》の採用率も伸び悩んだ。
時代によって適切なコストは変化している(多くの場合は低くなる)ことがわかる。かつてプレミアム殿堂であった《サイバー・ブレイン》《アクアン》殿堂入りであった《絶叫の悪魔龍 イーヴィル・ヒート》殿堂解除されたという事実が、何よりそれを物語っている。

そのように、どこかでシナジーが形成されることによって、コスト論では計り知れることのない強力なカードは多数存在する。
一方で上述の通り、低レアリティカードの中には明確な下位互換や純粋な低スペックカードも存在する。そこを見極めるのもプレイヤーの腕と言える。

参考 [編集]


[1] カード自体のコストから-1
[2] 《騒乱の影ウエスタン・バレル》《罪無 バドミン垓》
[3] 後述の計算式でコスト2の進化クリーチャーの基礎パワーを6000とする