エラッタ [編集]

本来のエラッタ (errata)とは、正誤表という意味を持つ単語である。

トレーディングカードゲームでは、実物のカードと、そのカードの処理に相違がある場合に出される「このようにしてください」という案内のことを指す。
転じて、TCG界隈では一度世に出たカードテキストを後から変更する行為そのものを意味することがある。

テキスト変更される原因は、テキストの記載が不備だったり、裁定変更などによって、ルール上混乱を招く恐れがあるなど、それ相応の理由がある。TCG版においては、強すぎるからという理由でテキスト変更されることはなく[1]、その場合は基本的に、殿堂入りプレミアム殿堂などの規制や、裁定変更による弱体化が適用される。

カードの能力は、常に最新のルールの下で出されたエラッタに合った内容に読みかえて使う。

デュエル・マスターズでは、再録時にカードのテキストに変更があった場合は、原則最新のテキストに合わせて使う。

エラッタは、ゲーム進行に支障をきたすような大きなものから、プレイヤー同士でのちょっとした会話ネタにしかならないような細かいものまで、大小さまざまなものがある。

大きなものの例では、《プロジェクト・ゴッド》《蒼狼の始祖アマテラス》能力が有名。
また、逆に小さなものだと、《封魔ヴィレ・アポストロ》の「ドデビル」などが挙げられるだろう。

  • デジタルカードゲームにて、実物のカードテキストごと変更された場合、エラッタという表現は厳密には誤りとなる。
    • カードパワーの調整を目的とした場合は、下方修正はナーフという表現をされることが多い。上方修正の用語は安定しておらずナーフの解説を参照。
  • ルールの変更を指してエラッタと言い回す事例もあるが、errata(誤字、正誤表)の意味から外れ、そもそも拠り所となる総合ルール自体から変更されているので適切な表現ではない。

過去のエラッタ一覧 [編集]

枚数を指定する効果 [編集]

変更日:(時期不明)
旧ルール:「相手の手札を2枚見ないで選び」などの枚数を指定してある効果は、相手の手札が1枚以下だった時、指定枚数を満たしていないので、その効果を実行することができません。

新ルール:「相手の手札を2枚見ないで選び」などの枚数を指定してある効果は、相手の手札が1枚だった時、指定枚数を満たさない場合でも、ある分だけの枚数(1枚)を指定し効果を実行します。

  • 補足1:旧ルールでは相手のクリーチャーが1体だけのときは《英知と追撃の宝剣》を使っても一切効果が発生しなかった。
  • 補足2:古い《スケルトン・バイス》はわざわざ以下のようなテキストにして相手の手札が1枚でも捨てさせることができるようにしていた。
    相手の手札から2枚見ないで選び、相手はそれを持ち主の墓地に置く。1枚しかない場合は、相手はその1枚を持ち主の墓地に置く。

破壊を置き換える効果に関する扱い [編集]

変更日:2004年3月15日?
旧ルール:「このクリーチャーが破壊されるときに墓地に置く代わりに手札に戻す」などの効果の処理は、一度墓地に置かれてから指定された場所に移動する。

新ルール:「このクリーチャーが破壊されるときに墓地に置く代わりに手札に戻す」などの効果の処理は、直接指定された場所に移動する。

呪文の空撃ち [編集]

変更日:2004年3月15日?
旧ルール:強制効果を実行できない呪文は唱えることはできない。

新ルール:「カードの能力は可能なものだけを処理する」が追加されたため唱える事ができるようになった。

《ダイヤモンド・カッター》《ミラクル・ポータル》 [編集]

変更日:2004年3月15日?
旧ルール:表記通りの「このクリーチャーは攻撃することができない」「このクリーチャーは相手プレイヤーを攻撃できない」の2つだけが無効になる。《ダイヤモンド・カッター》はこれに召喚酔いも加えた3つが無効になる。

新ルール:《ダイヤモンド・カッター》は全ての攻撃制限が無効になる。《ミラクル・ポータル》は召喚酔い以外の攻撃制限が全て無効になる。

ドラゴン」の扱い [編集]

変更日:(時期不明)
カードテキスト上に「ドラゴン」とだけ書かれている場合、それは「種族にドラゴンと付くクリーチャー」と読み替える。

  • 補足:このエラッタが出たものの、DM-22でテキストの簡易化のために「ドラゴン」とだけ表記するカードが復活した。また、後に種族カテゴリの概念やドラゴン単種族の登場により事実上消滅した。

《レジェンド・アタッカー》 [編集]

変更時期:不明(2004年頃?)
テキストの「ターン終了時までドラゴンとなる」が「種族にアーマード・ドラゴンを追加する」に変更。

進化クリーチャー進化元について その1 [編集]

不死鳥編で新能力メテオバーンが登場したことにより変化。
旧ルール:一度場に出た進化クリーチャーは、進化元のカード(下に重ねたカード)が無くなった場合、バトルゾーンにとどまる事ができず、墓地に置かれてしまう。

新ルール:一度場に出た進化クリーチャーは、進化元のカード(下に重ねたカード)に何が起こっても、バトルゾーンにとどまる事ができる。

進化クリーチャーと進化元について その2 [編集]

進化クリーチャーが進化クリーチャーの上に重ねられているとき、《ロイヤル・ドリアン》などの効果で一番上のカードが場を離れた場合、すべての進化元をバラバラにし、再び重ね直す。
適正な進化元の上に重ね直すことができなかった場合、重ねられなかったカードは墓地に送られる。
なお、現在はさらに裁定が変更されている(後述の「その4」参照)

進化クリーチャーと進化元について その3 [編集]

バトルゾーンに進化元がいない場合、進化クリーチャーを出すことはできない。(一部のカードで、進化元がいなくても進化クリーチャーを出すことができたが、現在は出すことができなくなった。)

進化クリーチャーと進化元について その4 [編集]

2021年3月16日に再構築のルールが再度変更された。
進化クリーチャーの一番上のカードのみが離れる時、その下にクリーチャーが複数重ねてある場合、そのうち一番上にあったクリーチャーを進化元クリーチャーとしてバトルゾーンに残す。残りのカードは、残したクリーチャーの下に重ねたままバトルゾーンに残る。この際、クリーチャーを1体も残さないことはできない。
また、無月の門の素材や進化元などの「そのクリーチャーの構成カードとして扱う」カードについて、「カード」を指定して下に置く無月の門の効果でも2022年8月10日の裁定変更で同様にまとめて下に置くように変更された。

破壊置換効果と破壊誘発型能力について [編集]

例として《インフィニティ・ドラゴン》が複数いるときにドラゴンが破壊される場合、《インフィニティ・ドラゴン》の破壊置換効果は「墓地に置かれる代わりに〜へ置く」となるため、重複することはなくどちらの《インフィニティ・ドラゴン》の置換効果を行うかを選択することになる。
他のカードの能力の置換効果についても同様。

《華憐妖精ミンメイ》《薫風妖精コートニー》について [編集]

《薫風妖精コートニー》によって5色レインボーカードとなったマナゾーンクリーチャー《華憐妖精ミンメイ》能力によって召喚するとき、旧ルールでは召喚するクリーチャーがもともと持っていた文明マナカードタップすれば召喚できたが、新ルールでは5文明が必要となり、結果的に4コスト以下のクリーチャー召喚できなくなる。(マナが出ない5色レインボーカードタップして「4コスト、5文明」のような払い方ができるときは召喚可能。)
というルールだったのだが、2015年7月15日の裁定変更によりコスト4以下のクリーチャーを召喚する場合、5文明分のマナを支払えば召喚できるようになった。

シールドが手札に移動するときのS・トリガーの裁定 [編集]

《マーシャル・クイーン》《吸引のシーリゲル》などで「シールドが手札に移動する」際、「S・トリガーを使用できない」と特に明記されていないのならば、そのシールドのS・トリガーを使用できる。
厳密に言うとエラッタではなく、曖昧だった裁定が正式に確定したもの。
また過去に《陽炎の守護者ブルー・メルキス》の能力でS・トリガー持ちクリーチャーが出た場合や、《封魔ダンリモス》の能力で指定以外のS・トリガー持ちのカードだった場合、S・トリガーとして使用できない、という裁定があったが、これも同時にS・トリガーを使用できるとされた。

複数のシールドが同時に手札に移動するときのS・トリガーの判定 [編集]

《マーシャル・クイーン》などで「複数のシールドが同時に手札に移動するとき」、今までは一枚ずつ手札に加えてS・トリガーなどの処理していたが、そうではなく同時に手札に加わるという裁定に変更。

つまり《マーシャル・クイーン》の場合であれば、3枚同時に手札に加え、その後手札に加えたカードのS・トリガーを使用できる。
手札に加えたカードのうち《星龍の記憶》を最初に唱えることで、手札に加えた時点ではS・トリガーでなかったカードをS・トリガーとして使う、などということはできない。(→【星龍マーシャル】

シールド・プラスされたシールドを手札に加えた場合も同じで、《奇跡の精霊ミルザム》で6枚重なった1枚のシールドを手札に加えた場合、6枚全てのカードが同時に手札に加わる。

過去のルールではW・ブレイカーなどでシールドを複数枚ブレイクする際は、今まで通り、一枚ずつシールドをブレイクしていた。
つまり、《星龍の記憶》が最初のシールドから出てきた場合、次にブレイクされるシールドはS・トリガーを得られることになっていた。
しかし現行のルールではW・ブレイカーなどでシールドを複数枚ブレイクする際は、同時に手札に加わる。という風に変わってしまった。
よって、この場合は《星龍の記憶》がブレイクされた複数のシールドから出てきた場合、他のブレイクされたシールドはS・トリガーを得ないので注意。

バトルに勝った時誘発する能力 [編集]

旧ルールでは「バトルに勝った時」誘発する能力は、相手クリーチャーが場にいる間に解決されそれから相手クリーチャーが墓地に置かれることになっていた。現在のルールでは相手クリーチャーが墓地に置かれてから解決される。この能力はpigなどの「墓地に置かれたとき」の能力と同時に誘発する。

複数のクリーチャーが同時に破壊される場合 [編集]

旧ルール:全体除去等によって複数のクリーチャーが破壊される場合、まずターン・プレイヤーのクリーチャーが一体ずつ墓地に置かれていく。それが終わってから非ターン・プレイヤーのクリーチャーが一体ずつ墓地に置かれていく。

新ルール:ターン、非ターンを問わず、すべてのクリーチャーが同時に墓地に置かれる。

多色カードとコスト軽減効果 [編集]

旧ルール:多色カードを手札から使うときコスト軽減効果により「文明の数>マナコスト」となっている場合、全ての文明の支払いができないためカードを使用することはできない。

新ルール:多色カードが「文明の数>マナコスト」となった場合、文明のためにコストを余分に支払うことができる。余分な分のマナは支払い終了時になくなる。

  • 例えば、旧ルールでは《モビル・フォレスト》で赤緑の《無頼勇騎ゴンタ》のコストを1に下げると普通に召喚することができなくなっていた。現在では2マナ分をタップして文明のみを用意する形で1マナ支払って召喚することができる。
    なお、旧ルールでも、マナの5色レインボーで「文明だけを支払う」ことができればカードを使うことができた。

公式発表された誤植による訂正 [編集]

その他の誤植・印刷ミス [編集]

種族名の誤植・印刷ミスは種族誤植の一覧を参照。

誤植のように見えて正式なもの [編集]

参考 [編集]


[1] デュエル・マスターズ プレイスでは一部のカードが該当している。調整が加えられたカード (デュエプレ)の項も参照。