斬隠蒼頭龍(きりがくれそうとうりゅう)バイケン》 [編集]

斬隠蒼頭龍バイケン SR 水文明 (6)
クリーチャー:ポセイディア・ドラゴン/シノビ 6000
W・ブレイカー
相手のターン中にこのクリーチャーが自分の手札から捨てられる時、墓地に置くかわりに出してもよい。そうしたら、クリーチャーを1体選び、持ち主の手札に戻してもよい。
自分のシノビの「ニンジャ・ストライク」を使った時、カードを1枚引いてもよい。

DM-29で登場したポセイディア・ドラゴン/シノビ

自分のニンジャ・ストライク発動時にドローするシステム能力に加え、相手のターン中に手札から捨てられる置換効果バトルゾーンに出る旧型のマッドネス能力と、それに伴ってバウンスを放つ独特の能力を持つ。

前者のドロー能力ニンジャ・ストライクを多用するデッキでは結構な頻度で発動できる。ニンジャ・ストライクで減ってしまう手札の消費を抑えられ、《バイケン》が複数いれば手札を増やすこともできる。
ニンジャ・ストライクを主軸とする【シノビ】を組む際には覚えておきたい。ニンジャ・ストライクをより多く・より確実に発動させるためにも、ビートダウンのような攻撃的なデッキでこそ真価を発揮する能力と言える。

後者の能力は、旧型マッドネスバウンスが搭載されたもの。
手札で発動機会をうかがうニンジャ・ストライクにとってハンデスは天敵であり、マッドネスはそれに対してのメタとなる。W・ブレイカーバウンスを放ちながら出てくるため、相手の打点計算を大きく狂わせることができる。場合によっては返しのターンに逆に相手を攻め落とすことさえある。

自身をバウンスすることで実質的にハンデスを無効にするプレイングもできる。

また、マッドネスの条件は「相手のターン中に手札から捨てられること」であるため、自分のカードで捨てても出すことができる。特に《エマージェンシー・タイフーン》《怒流牙 佐助の超人》との組み合わせは有名だろう。また、このギミックを主軸に置いた専用デッキも存在する。(【カウンターマッドネス】参照)

これによってマッドネス以外にも高いカウンター力を持つ防御札としても作用するため、数多あるマッドネスとは一線を画する。
ただし、普通に召喚するだけではその時点では何もできず、提督と違って即効性のある手札補充ができるわけではない。張りつめた盤面でこそマッドネスとして強い牽制力を持つため、そこは数多あるマッドネスと使い分けると良いだろう。一応、環境の高速化は《バイケン》にとって追い風と言える。

環境高速化もあって安定性よりワンチャンスを重視することも多く、相性のいいカードとともに幅広いデッキで採用されている。

置換効果で出るため極めてロックに引っ掛かりにくい防御札であり、盤面に影響を与えることができるマッドネスである点が大きく評価されている。6マナのドラゴンであるため革命チェンジの起点にもしやすい。《時の法皇 ミラダンテXII》《完璧問題 オーパーツ》《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ/「未来から来る、だからミラクル」》らに変換できるのは要注目。

実際、古今環境の上位戦でも《バイケン》の作り出したワンチャンスで突然逆転する事例は数多存在する。相手にする時はくれぐれも足元をすくわれないようにしたい。

ルール [編集]

+  以前の裁定

テクニック [編集]

環境において [編集]

このカードシノビを守りの要にし、タッチを加えた【青黒緑コントロール】【カウンターバイケン】は、2008年の公式大会レギュラークラスで1位をかっさらった。その内容は、打点はダイレクトアタックまで届いていたものの、ニンジャ・ストライクを警戒したであろう相手が1枚のみの手札にハンデスを打ち込んだ結果《バイケン》が登場し、バウンスで1ターン凌いだ上で返しに逆に攻め落としたというもの。《緑神龍アーク・デラセルナ》も全国大会で活躍したカードであり、大型マッドネスメタゲームのダークホースといえる。

エピソード1以降は相手のハンデスに反応するマッドネスとしての役割はおまけであり、バウンスを放てるコスト踏み倒しといった見方をされやすい。優秀なマッドネス《永遠のリュウセイ・カイザー》が登場したこと、相手のターンに自分の手札を捨てる手段が増えたことが理由に上げられる。ある意味では衰退したものの、ちゃっかり強化されつつ独自の立場を築きあげている。

エピソード3環境辺りでは【ヒラメキドレーン】【カイザー「刃鬼」】などの過剰打点系デッキが多かったため、1体や2体では返し切れないということで採用はまばらだった。【墓地ソース】系統と相性が良さそうだが、クリーチャーではない《エマージェンシー・タイフーン》の採用はまばらな上、防御の用途であれば当時無制限で4枚積み《疾封怒闘 キューブリック》で十分だった。

革命編環境になると当時速度とカードパワーで多くのデッキを圧倒していた【赤単レッドゾーン】への対策札として注目された。S・トリガーで捲ったディスカード呪文でマッドネスを起動すれば少数精鋭の【速攻】であるそちらに刺さる上に、《伝説の禁断 ドキンダムX》が見えている状況ならそちらの特殊敗北を突くことができる。しかもマッドネスは置換効果で出ることなので、《単騎連射 マグナム》も無効。

革命ファイナル環境では【赤黒レッドゾーン】《轟音 ザ・ブラックV》《復讐 ブラックサイコ》等といったハンデスが横行する環境に対するメタとして、色の合うデッキ全般に採用された。ただし、マッドネスで出た直後に《S級不死 デッドゾーン》で除去されるパターンも多く、カウンター革命チェンジ元としては過信は禁物であった。

《怒流牙 佐助の超人》の登場以降は【青緑コントロール】【チェンジザダンテ】における確実制の高いカウンター札として活躍。ただ、《怒流牙 佐助の超人》とのセットはいつでも手札に揃うとは限らないため、《ディメンジョン・ゲート》で引っ張り込む前提で2枚積みとするプレイヤー、あるいはこれをアテにせず全抜きするプレイヤーもいる。超天篇環境あたりからは相性の良いデッキであっても全抜きの構築が多くなった。

DMRP-11期に【青赤緑ミッツァイル】【4色ミッツァイル】が成立したのを皮切りに過剰打点を形成するデッキが続々登場し、このカードをかき集めてマッドネスを連打しても防ぎ切れないという根本的な問題が目立っていった。【ロマノフシャコガイル】ですらしばしば全抜きするあたりから需要の冷え込みが分かるだろう。

DMBD-15期に【青黒緑シャコガイル】の使用率が回復すると、このカードも需要をある程度取り戻した。

《電脳の海を彷徨うエレキギター》登場後は白青型の【ナウ・オア・ネバーループ】にそちらと組み合わせる前提で3枚程度積まれるケースも見られるようになった。

アビス・レボリューション環境になると既にマッドネスとして飛び抜けた性能ではなくなり、またマッドネス自体の採用条件として「《巨大設計図》に引っ掛かること」が絶対条件に近くなったため、下火となった。

王道篇環境アドバンスでは【白青ライオネル.Star】が居場所の1つとなっている。

オリジナルでは [編集]

王来篇に入ると【青黒退化】で使われるようになった。ただ、この頃になるとメインの勝ち筋がかなり強力になったため無くても困らない立ち位置であり、人によって投入したりしなかったりのカードである。ところが《氷牙レオポル・ディーネ公/エマージェンシー・タイフーン》が登場すると、《エマージェンシー・タイフーン》を8枚体制とすることができるようになり、S・トリガー付きディスカード要員がメインデッキに3割程度積めるようになったことから、S・トリガーによるカウンターが安定するようになり、このカードを3枚ほど積むケースが激増。

【青黒退化】がトップメタを退くと今度は【白青緑ギャラクシールド】で需要を得た。事実上【白青緑シャコガイル】の一種なのである意味では当然である。

DMBD-21DMBD-22末期頃から【青黒緑ハンデス有象夢造】対策として需要が再燃。色の合う【ガイアッシュ覇道】系統や【有象無象】の同型対策を中心に使われるように。

DMGP2022オリジナル《龍頭星雲人/零誕祭》軸の【墓地ソース】が結果を残すと、そのミラーマッチにおける盤面の取り合い、ダメージレースを制するための打点形成手段としての側面が目立つようになった。

DM23-EX3期には【オボロティガウォック】《氷柱と炎弧の決断》S・トリガー化を前提に1枚積みされるケースがあった。

DM24-RP1期では【青単カクラリコ】と呼ばれるデッキに《カクラリコ》と一緒に採用された。

流通・再録について [編集]

  • DMART-11では「蒼斬(あおぎり)しのぶ」という部活動に取り組むキャラクターに擬人化されている。《斬隠バイケン》風の競泳水着を着た褐色肌美少女がプールから上がっている。後ろには浮き輪で浮かぶ伍代ドーラとクロール泳ぎする宿禰マロン

アニメ・漫画において [編集]

その他 [編集]

  • 名前の由来は吉川英治の小説『宮本武蔵』に登場する宍戸梅軒。宮本武蔵の没後に著された伝記『二天記』に登場する宍戸某をモデルとした人物。
    宮本武蔵と戦った伊賀国出身の鎖鎌の達人と言われているが、元となった宍戸某を含め後世の脚色である可能性が高い。
  • 他のシノビと同じく名前にはシノビ特有の冠詞が付いているが、このクリーチャーには更に「蒼頭龍」という特殊な名前が追加されている。ポセイディア・ドラゴン冠詞である「蒼神龍」と統べる人物を指す「総統」を掛けたのだろうか。
    • 実は「蒼頭」という熟語自体も存在している。しもべや召使いという意味であり、「総統」とでは状況が180度変わってしまう。イラストを拡大すると頭の上に《威牙忍ジンナイ》が乗っているのがわかるので、《バイケン》は《ジンナイ》のしもべなのかもしれない。
      • イラストでは前述のとおり《ジンナイ》が操っているようにも見えること、デュエプレで登場した《蒼神龍バイケン》のイラストには《ジンナイ》が描かれておらず種族にシノビを持たないこと、これらから《ジンナイ》のしもべという説も十分あり得る。
        一方で、《ジンナイ》とは単に相性が良いから組んでいたり、《ジンナイ》が参謀に過ぎないといったケースも考えられ、それらの場合においてサイズ差のせいで《ジンナイ》は頭に乗るしかなかった可能性もある。さらには名前の由来となった宍戸梅軒は野武士集団の頭目とされており、総統であってもなんらおかしくない。
        なお《ジンナイ》がフレーバーテキストで使っている威牙忍法・次元陣は恐らく《バイケン》を庇っているとされるが、これは《バイケン》が主君でも強力なしもべでも替えが利かない存在なら成り立つため、根拠とするにはやや曖昧な描写である。
        フレーバーテキスト背景ストーリーでの描写、さらには担当イラストレーターやデュエマ公式などの発言のいずれにおいても《バイケン》および《ジンナイ》の立場・関係性を明確にするようなものが存在しておらず、現状ではどちらとも言い切れない。

関連カード [編集]

フレーバーテキスト [編集]

収録セット [編集]

参考 [編集]


公式Q&A

  • 2つ目の能力について

Q.相手のターン中、《斬隠蒼頭龍バイケン》を手札から捨てた時、墓地に置くかわりにバトルゾーンに出せますが、手札に戻す能力はどのタイミングで使うのですか?また、手札に戻す能力は置換効果ですか?
A.《斬隠蒼頭龍バイケン》の「相手のターン中、手札から捨てられた時」に使える能力は一連のものとして扱います。ただし、手札に戻す能力は置換効果ではありません。ひとつの能力内でも「そうした場合」「そうしたら」などで表される別の句点で区切られる文章であればそれは別のイベントとみなし、置換として扱わないからです。
引用元(2019.7.2)

Q.相手のターン中に「S・バック」能力によって、シールドゾーンから手札に加えられる《斬隠蒼頭龍バイケン》を捨て、自身の能力によってバトルゾーンに出した場合、《斬隠蒼頭龍バイケン》の手札に戻す効果を使えるタイミングはいつになりますか?
A.「S・バック」による召喚より《斬隠蒼頭龍バイケン》の効果が先になります。《斬隠蒼頭龍バイケン》はバトルゾーンに出してからクリーチャーを手札に戻す効果までが一連の能力になりました。ただし、手札に戻す能力は置換効果ではありません。
引用元(2019.7.2)

Q.マナゾーンに多色カードが4枚ある時に、相手が《裏切りの魔狼月下城》を唱えました。このとき最初に捨てたカードが《斬隠蒼頭龍バイケン》で置換効果によって、バトルゾーンに出した場合、《裏切りの魔狼月下城》のマナ武装4の効果と《斬隠蒼頭龍バイケン》の手札に戻す効果はどちらが先になりますか?
A.《斬隠蒼頭龍バイケン》の効果が先になります。置換効果として割り込んでおり、ひとつの能力なので手札に戻す効果も続けて処理されます。
引用元(2019.7.2)

Q.バトルゾーンに《界王類絶対目 ワルド・ブラッキオ》がいます。自分のターンに相手の手札を捨てたら、《斬隠蒼頭龍バイケン》で、相手はバトルゾーンに出す事を選びました。相手はその《斬隠蒼頭龍バイケン》の手札に戻す効果を使う事はできますか?
それとも、《界王類絶対目 ワルド・ブラッキオ》がいるので、トリガーしなくなりますか?
A.《斬隠蒼頭龍バイケン》の能力は「相手のターン中に、手札から捨てられた時」に使えるので、バトルゾーンに出てトリガーしているわけではありません。そのため、《界王類絶対目 ワルド・ブラッキオ》の能力を受けず、クリーチャーを手札に戻す事ができます。
引用元(2019.7.2)

Q.バトルゾーンに相手《閃閃-ダセンゼ》がいる状況で自分のシールドが3つブレイクされ、その中にあった《サイバー・チューン》《終末の時計 ザ・クロック》2枚の使用を宣言しました。
先に《サイバー・チューン》を使い、その効果で《斬隠蒼頭龍バイケン》を捨てた場合、自身の能力によって《斬隠蒼頭龍バイケン》をバトルゾーンに出せますか?
それとも、先に《終末の時計 ザ・クロック》2枚の使用を宣言してしまっているので、《閃閃-ダセンゼ》の能力によって出せなくなりますか?
A.バトルゾーンに出せます。まだ出ていない《終末の時計 ザ・クロック》2体は数えず、《斬隠蒼頭龍バイケン》をバトルゾーンに出した1体目のクリーチャーとして数えます。
また、この《斬隠蒼頭龍バイケン》の能力で《閃閃-ダセンゼ》を手札に戻した場合、《閃閃-ダセンゼ》の能力は失われ、自分は3体目のクリーチャーをバトルゾーンに出せるようになります。

+  (総合ルール 603.2e)

引用元(2020.6.26)

Q.《怒流牙忍法 次元隠しの術》を唱え、バトルゾーンにいる相手のコスト6のクリーチャーを超次元ゾーンに置いた後、《ゴースト・タッチ》を唱えました。
捨てるカードが《斬隠蒼頭龍バイケン》でしたが、自身の能力でバトルゾーンに出すことはできますか?
A.いいえ、バトルゾーンに出すことができないので、そのまま墓地に置かれます。
引用元(2020.7.17)

Q.《「雷光の聖騎士」》の置換効果を適用して、手札から《斬隠蒼頭龍バイケン》を捨てる際、かわりにバトルゾーンに出ますか?
A.いいえ、バトルゾーンに出ません。置換効果は連鎖しません。《「雷光の聖騎士」》の置換効果によって「シールドブレイク」を「手札を1枚捨てる」に置換しているので、それをさらに《斬隠蒼頭龍バイケン》の置換効果で「出す」に置換することはできません。
引用元(2022.4.22)

Q.自分の手札にある《斬隠蒼頭龍バイケン》が置換効果によってバトルゾーンに出た際、クリーチャーを手札に戻す効果で相手の《勝熱英雄 モモキング》を手札に戻せますか?
A.いいえ、選べないので、手札に戻せません。《斬隠蒼頭龍バイケン》の置換効果は、手札から捨てられる時に適用されますが、「そうしたら」以降の能力はバトルゾーンにいる《斬隠蒼頭龍バイケン》が発生源となります。《勝熱英雄 モモキング》は、バトルゾーンの多色ではないクリーチャーの能力によって選ばれないため、《斬隠蒼頭龍バイケン》の能力でも選べません。
引用元(2022.7.22)

Q.バトルゾーンに相手の、能力で《斬隠蒼頭龍バイケン》を指定している《神聖龍 エモーショナル・ハードコア》がいます。この状況で、自分の手札にある《斬隠蒼頭龍バイケン》が捨てられる時、かわりにバトルゾーンに出せますか?
A.はい、出せます。《神聖龍 エモーショナル・ハードコア》の能力で無視されるのはバトルゾーンにいるクリーチャーの能力だけです。
なお、《斬隠蒼頭龍バイケン》の置換効果の「そうしたら」以降の効果はバトルゾーンに出た後で解決されますが、能力が無視されても解決中の効果は無視されません。この場合でも、クリーチャーを1体手札に戻せます。
引用元(2022.7.22)

Q.自分は《絶望と反魂と滅殺の決断》を唱えて、効果で「相手は自身の手札を1枚選んで捨てる」を2回選択しました。
1回目の効果で捨てようとした相手の手札が《斬隠蒼頭龍バイケン》だったので、捨てるかわりに《斬隠蒼頭龍バイケン》がバトルゾーンに出たのですが、出た《斬隠蒼頭龍バイケン》の「そうしたら、クリーチャーを1体選び、持ち主の手札に戻してもよい」と、2回目の手札を捨てさせる効果は、どちらを先に解決しますか?
A.《斬隠蒼頭龍バイケン》の効果を解決するのが先です。
《斬隠蒼頭龍バイケン》の効果でクリーチャーを1体手札に戻してから、《絶望と反魂と滅殺の決断》の2回目の効果を解決します。
引用元(2023.5.19)