#author("2024-07-26T02:13:43+09:00","","") #author("2024-11-26T09:01:30+09:00","","") *&ruby(こうそくか){高速化}; [#ra59fe37] [[ゲーム]]の進行速度が以前の[[環境]]より早くなること。主に、[[フィニッシャー]]の展開や[[ダイレクトアタック]]の速度が早まる。後述するが、[[カードパワー]]が上がっていくだけの[[インフレ]]とは意味が異なる。 実はこの高速化の定義は曖昧。 一般的にはゲーム開始から終了までの現実時間が短縮されることを指すことも多いが、実際は黎明期から見るとそんなに平均的な試合時間が減少していなかったりする。むしろ、黎明期の[[【青単速攻】]]の方が圧倒的に早いということも。早期決着を狙う[[ビートダウン]]方面にも、防御を固める[[コントロール]]方面にも[[インフレ]]は必ず起こるため、[[インフレ]]したからと言って試合時間だけが減少する一方なんてことはない。 しかし、平均は考えずに、理論上最速で決着を付けることができるターン数の減少を指すのであれば、高速化は環境が進むごとに着実に起こっている。ただし、[[【ダーツデリート】]]のように理論上は1ターンで決着は着くが、現実的にあまりにも確率が低いものは、高速化の指標にされることはない。 また、[[クリーチャー]]の展開速度、ゲーム開始から[[ファッティ]]がバトルゾーンに出るまでの時間などを指す場合は、ビートダウンにもコントロールにも高速化は起こっている。また、あっさり3ターンでゲームが終わる事態も増えていっている。 [[ゲーム]]の進行速度が増した事と、1[[ターン]]で容易に即死打点を形成出来るようになった事から[[1ショットキル]][[デッキ]]が数多く台頭するようになり、[[ブロッカー]]と[[タップキル]]で[[制圧]]したり、[[火力]]付きの[[S・トリガー]]を多めに積んで対策する旧来の[[速攻]]対策は競技レベルにおいてはまるで通用しなくなった。 これに伴い[[コントロール]]系統も盤面を[[制圧]]してから長期戦を狙うものよりも、隙を見て速やかに[[エクストラウィン]]や[[ライブラリアウト]]による勝利を狙う[[ループ]]系統など、猛攻をしのいだら相手にターンを渡さず決着を目指す[[デッキタイプ]]が主流となった。 高速化する背景には、[[デュエル・マスターズ]]というゲーム自体の競技性の高まりや見栄えの問題も背景にあると考えられる。 そもそも[[デュエル・マスターズ]]はマナの関係で最序盤の動きは地味かつ簡素になりがちであり、さらに大規模の大会でのストリーミングライブ配信においては、プレイ時間そのものが長くなる傾向にある[[ランデス]]・[[ロック]]・[[コントロール]]系統同士の仕合は長期戦になりやすく、どうしても[[ビートダウン]]と比べると見栄えは悪い。同じような光景のにらみ合い・読み合いが続く状況も同様。また、長時間に及ぶスローな試合展開は円滑な運営にも支障を来しかねず、早期決着で終わる方が負担は少ない。 総じて、プレイヤー・観客・運営の負担の観点からゲームテンポが良い(速い)方が好まれるようになってくる。 -これは何も[[デュエル・マスターズ]]に限った事ではなく、PvP(対人戦)による競技性を志向したゲーム全般に共通して起きている現象である。 **高速化の変遷 [#a78414c7] 高速化と言う言葉自体は古くから存在していたが、より広く浸透したのは[[革命編]]における[[侵略]]というギミック、取り分け[[《轟く侵略 レッドゾーン》]]、それを軸に構成された[[【赤単レッドゾーン】>【レッドゾーン】#o0b3a240]]の存在が大きい。 [[パワー]]12000以上の[[T・ブレイカー]]はそれまで8[[コスト]]以上か、それに見合うデメリットが伴うものであった。しかし[[《轟く侵略 レッドゾーン》]]はこのレベルの[[スペック]]を持ちつつ、自身の[[コスト踏み倒し]][[能力]]で3、4[[ターン]]に登場し[[攻撃]]もできる。加えて強力な[[能力]]で場を荒らした上でそのまま[[ダイレクトアタック]]まで持ち込めるその性能から、一躍トップメタに躍り出た。 [[パワー]]12000以上の[[T・ブレイカー]]はそれまで8[[コスト]]以上か、それに見合うデメリットが伴うものであった。しかし[[《轟く侵略 レッドゾーン》]]はこのレベルの[[スペック]]を持ちつつ、自身の[[コスト踏み倒し]][[能力]]で3、4[[ターン]]に登場し[[攻撃]]もできる。加えて強力な[[能力]]で場を荒らした上でそのまま[[ダイレクトアタック]]まで持ち込める。 同時期に登場した他の[[侵略]]持ち[[カード]]もこれに準ずる速度対性能を持ち、多くのプレイヤーは否が応でもこの高速化という現象を意識せざるを得なくなった。 [[DMR-17]]のCMやアニメ『VSR』でも「3ターンキル」と宣伝されており、公式が[[《轟く侵略 レッドゾーン》]]を使った3ターンキルを半ば[[デザイナーズコンボ]]としていると、当時はプレイヤー間に衝撃が走った。 [[革命ファイナル]]においても、味方[[クリーチャー]]を[[手札]]と[[マナゾーン]]から展開出来るなどの[[革命チェンジ]]を持つ[[クリーチャー]]が高速化に拍車を掛けた。特に、多色クリーチャーのコスト踏み倒しとスピードアタッカーの付与を行う能力を持った[[《蒼き団長 ドギラゴン剣》]]の登場で、3、4ターンキルがさらに容易になった。長期戦を得意とする[[コントロール]]系のデッキでも、[[《時の法皇 ミラダンテXII》]]などで早い段階から強力なロックで相手を一方的に追い詰め、中速並みの速さで[[ダイレクトアタック]]に持ち込めるようになった。 そのため、革命編以降の環境は「高速環境」と呼ばれるようになった。良くも悪くも、この時期の環境の変化はデュエル・マスターズの歴史を変えた分岐点と言えるだろう。 [[新章>新章デュエル・マスターズ]]に入ると軽量の[[コスト踏み倒しメタ]]クリーチャーが増え勢いは落ちる事となった。しかし[[ループ]][[デッキ]]に対しても高速化が施された。ループ中にランダム要素が関わる場合、最も望む結果まで省略することが認められた。 [[双極篇]]に入ると、パワー9000の[[W・ブレイカー]]でありながら、1[[ターン]]目から[[バトルゾーン]]に出ることができる[[《“轟轟轟”ブランド》]]が登場。この[[カード]]によって2[[ターン]]キルが現実的な確率で実現できるようになり、高速化がさらに激化する事態となった。 しかし、[[超天篇]]に入る直前に高速化しすぎた環境に歯止めを利かせるべく、[[《蒼き団長 ドギラゴン剣》]]と[[《時の法皇 ミラダンテXII》]]が[[殿堂入り]]に指定され、その4ヶ月後には[[《“轟轟轟”ブランド》]]も殿堂入りした。 だが、[[DMRP-11]]では重量級[[マナドライブ]][[GRクリーチャー]]や[[《生命と大地と轟破の決断》]]等の登場により、4~5ターン目に[[ソリティア]]からの[[1ショットキル]]や[[即死コンボ]]が炸裂する高速環境に戻ってしまった。2020年1月1日には[[《BAKUOOON・ミッツァイル》]]等に[[殿堂入り]]や[[プレミアム殿堂]]の措置が取られたが、依然として高速環境は収束の目処がたっていなかった。 また、[[十王篇]]に入ってからはGRによる高速化も落ち着いてないうちに[[DMBD-14]]が発売。[[《ヘブンズ・フォース》]]を使うことで2t目に[[《最終龍覇 グレンモルト》]]や[[《∞龍 ゲンムエンペラー》]]などの強力なドラゴンを出す[[【白黒赤ドラグナー】]]が流行したことで、それに対して[[《緑知銀 ダッカル》]]や[[《「策略のエメラル」》]]で[[《凄惨なる牙 パラノーマル》]]を表向きでシールドに置くギミックを[[《ヘブンズ・フォース》]]を使用し最速2t目に相手のクリーチャーを常時マイナス3000することが出来る[[【ダッカルパラノーマル】]]、[[《Q.Q.QX./終葬 5.S.D.》]]や[[《U・S・A・BRELLA》]]、[[《洗脳センノー》]]といったメタカードを[[《ヘブンズ・フォース》]]によって2t目に出して相手の動きを先に牽制する[[【白赤緑ヴァイカー】]]など、相手のヘブンズフォースを使った動きより先に自分のヘブンズフォースを使った動きを押し付けて相手に動かせないという、先行2t目で勝負が決まるほどの高速化が起こった。 ところが[[G・ストライク]]、[[EXライフ]]が登場した[[王来篇環境]]では一変、このシリーズのギミック、[[パワーカード]]を味方に付けた[[【5色コントロール】]]系統が跋扈し、高速環境がここに来て是正された。[[【速攻】]]である[[【我我我ブランド】]]ですら[[G・ストライク]]や単体除去[[S・トリガー]]を見越して打点を貯めてから4ターン目辺りに[[ワンショット]]を始めることがざらになり、5ターン目まで長引くことも珍しくないと聞けば環境の速度の程が分かるだろう。 **参考 [#r7816e49] -[[用語集]] -[[インフレ]] -[[侵略]] -[[革命チェンジ]]