#author("2021-05-02T14:10:37+09:00","","")
*フルパワー理論 [#rb15bfc4]
#author("2021-05-03T11:56:31+09:00","","")

デッキビルディングにおける考え方の1つ。デッキ全体を、なるべく自分の理想とする[[プレイング]]を''最速で''実現できる構築にすることを目的にした理論。
「[[フルパワー]]」を極限まで追求しようとする理念がフルパワー理論といえる。

「負け筋を減らすために[[防御札]]や[[メタ]]を多く入れるよりも、自分の理想の動きを素早く通せるカードを入れた方が、結果として勝率が高くなる」という発想から生まれたもの。
あくまでも、[[防御札]]や[[メタ]]カードの投入を考えるのは二の次というスタンスであって、決して[[防御札]]や[[メタ]]カードを入れてはいけないという訳ではない。

例えば[[【ビッグマナ】]]なら、防御札を抜くことでその枠で[[マナブースト]]、[[手札補充]]を増やし、通常より更に安定して速くフィニッシャーを出せるようにできる。

フルパワー理論の考え方は以下の通り。
+デッキの動きを最大化・最速化できるカードのみで構築する
+もし、[[防御札]]や[[メタ]]カードを入れるなら、それもなるべくデッキの動きを滑らかにできるものにする
+1.と2.をクリアしてもなおデッキ[[スペース]]が空くのであれば、純粋な[[防御札]]・[[メタ]]カードを入れてもよい

[[防御札]]や[[メタ]]カードを一切入れずに、1.の条件を達成するだけでも、[[環境]]で十分戦える構築になることもある。
[[防御]]/[[メタ]]としての役割に加えて、[[ビートダウン]]であれば[[アタッカー]]にも使えたり、[[コンボデッキ]]であれば[[コンボパーツ]]にもなったりできるカードは2.に当てはまる。
例えば、[[コスト踏み倒しメタ]]で言うと[[《異端流し オニカマス》]]の[[アンタッチャブル]]を活かして低コスト[[アタッカー]]として使用したり、呪文側の[[ロック]]を目的に[[《奇石 ミクセル/ジャミング・チャフ》]]を採用するなど。要するに複数の役割を兼任できる[[汎用性]]が重要である。
相手の攻撃を確実に止める手段の代表カードである[[S・トリガー]]の[[《終末の時計 ザ・クロック》]]や[[《閃光の守護者ホーリー》]]などは、[[防御札]]以外の役割が持てないことがほとんどのため、フルパワー理論では3.に当たるカードである。要するに、優先順位が最も低い。

-フルパワー理論は、決してすべてのデッキに当てはまるわけではない。
自分のデッキにおける最大の強みを押し付けて勝利を目指す[[ビートダウン]]には当てはまるが、長期戦を前提とし、場面毎に理想のプレイングが変化する[[コントロール]]には当てはまりにくい。
また[[コンボ]]においても、そのコンボを始動して勝てる場面を作るための[[カード]]を優先的に積む構築も存在するため、一概には言えない。

-[[S・トリガー]]で[[防御札]]になれるだけでなく、コストが軽いため[[手打ち]]にも使いやすく、[[リソース]]確保と[[除去]]を兼ねる[[《ドンドン吸い込むナウ》]]、[[《ドンドン水撒くナウ》]]、[[《ドンドン火噴くナウ》]]などは、まさにフルパワー理論に則った[[防御札]]と言える。


***実践におけるフルパワー [#dd2e40ef]

[[メタ]]や[[防御札]]をほとんど入れないと聞くと、ネタもしくは冗談なような構築と思う者も少なくはない。いつの時代でも、攻めが重要な[[速攻]]ですら[[S・トリガー]]のような[[防御札]]を投入するのは当たり前となっており、[[防御札]]をすべて抜くという発想にすら至らないプレイヤーもいるだろう。しかし、フルパワーにした方が勝率が安定するという事例はよくあることである。

防御札を入れないからと言って、[[速攻]]に弱いとは限らない。速攻よりも早く動くこと、つまり「やられる前にやる」ことで、速攻より弱くなるどころかむしろ強くなることもある。そのため、速攻に弱いなら、逆にフルパワーで構築を考えてみることも重要になってくる。
ただ、フルパワーに特化しても速さで負けてしまうことが頻発するようであれば、大人しく[[防御札]]を入れた方が賢明だろう。


環境が低速化している時代では、[[ターボ]]・[[ビッグマナ]]系統のデッキも[[手札補充]]・[[マナブースト]]に特化して最速で[[フィニッシャー]]を出すフルパワー型で構築されたこともあったが、3、4ターンキルが当たり前の現在では流石に[[防御札]]を多めに入れた方がいい。

[[防御札]]も[[メタ]]も挟まずに、決して低くはない勝率を実現できるデッキは「[[対話拒否]]」に該当し、多くの場合公式からの規制対象となる。
[[【零龍ギャスカ】]]は1ターン目の[[《怨念怪人ギャスカ》]]によってフルパワー理論を体現していたが、[[《怨念怪人ギャスカ》]]の[[殿堂入り]]により1ターン目に《ギャスカ》が手札にある確率がかなり低くなった。

**参考 [#u4d722f8]
-[[デッキビルディング]]
-[[フルパワー]]