デッキビルディング [編集]

デッキを組むこと、構築すること。
そのデッキをどういったものにするかはあらかじめコンセプトを定め、それを活かす構成にする必要がある。(>デッキを参照)

個々人のカード資産差やコンボ発想のセンス等が問われ、プレイヤーの腕が試される瞬間である。

デッキビルディングは上級者でも骨の折れることがある作業ではあるが、そこに楽しみを覚えるプレイヤーも多い。

デッキビルディングのパターン [編集]

他のカードゲームでもそうだが、デュエル・マスターズには構築済みデッキという商品が存在し、それがあれば自分の手でデッキを組まなくても遊ぶ事ができる。
初心者のうちはこの構築済みデッキを手に入れるか、他人にデッキを組んでもらうのがよい。
もっとも、あえて自分の手でデッキビルディングに挑戦することでデュエル・マスターズを始めるのも楽しみ方の1つではある。

環境で勝利を掴めるデッキ(ガチデッキ)を組む場合、昨今ではすでに存在するメタデッキをコピーしたコピーデッキ、ないしは環境でよく使われるアーキタイプを元にしたデッキを組む事が多く、1からデッキビルディングをすることは少ない。

  • 特に革命編環境以降はインターネット動画による情報公開の普及と環境の高速化の影響により、1つのアーキタイプにおいてテンプレ構築以外がほぼ通用せずデッキビルディングの概念が薄れつつある。
  • 一方で環境を意識しないデッキであれば、インターネットによる情報公開の普及のおかげでデッキビルディングの幅が広がったとも言える。

元が構築済みデッキアーキタイプであったとしても、そこから一部のカードを抜き差ししてより強いデッキに調整するのは、立派なデッキビルディングの過程である。

  • ゼロからデッキを作り上げる人を「デッキビルダー」と呼び、あるデッキのテンプレから改良を行うプレイヤーを「デッキチューナー」と呼ぶ傾向がある。

デッキビルディングの基本 [編集]

ここからは、1からデッキビルディングを行う際に意識するとよい事項について解説する。具体的には、強いデッキ、つまり勝ちやすいデッキを作るための構築理論に沿って説明を行う。
ただし、ここに書かれてあることが絶対的に正しいとは限らず、デッキによっては例外もあるため、あくまでも参考程度に。

組み始め [編集]

まずは単体でもデッキとして機能するように、実際のゲームでの動きを想像しながらカードを選出していく。
以下の点を意識すると安定したデッキになりやすい。

●使用するフィニッシャーやコンセプトを絞る

試合に勝つためのフィニッシャー、もしくは勝ち筋のコンセプトを用意し、それを支えるためのカード(マナブーストなど)を投入すると試合の流れがスムーズになりやすい。
ただし、フィニッシャーコンセプトが複数あると、それぞれを支えるためのカードが必要になってスペースが足りなくなる。必要なスペースが足りないデッキは事故が多発するので前述のスムーズさを損なってしまう。特定のメタカードを意識し過ぎてサブプランをあれもこれも欲張ることでデッキが安定しなくなることも。

それぞれのデッキの性質を見極め、そのデッキでカードが最も活きるような構成を心掛けるべきである。時には、同じデッキに何種類もフィニッシャーを入れるのを諦めて素直に別のデッキを作成するのも手だろう。

マナカーブに気を配る

重いフィニッシャーを積み過ぎると序盤の事故の確率が高まり、軽いカードが多いとデッキ全体のカードパワーが低くなって終盤に押し負けてしまうことがある。重量級軽量級のバランスを取ることを心掛けたい。

初心者が陥りがちなのは、すべてのコスト帯にカードを同数ずつ振り分けることである。マナカーブ的にはこれは高コストのカードが多すぎる状態であり、実戦での事故の確率が上がってしまう。

ただし、【連ドラ】ビッグマナのようなファッティばかりのデッキや、【速攻】のようにウィニーばかり採用するものもあるので、一概には言えないことではある。

  • S・トリガーなどのように、コスト踏み倒しで使う可能性の高いカードはマナカーブへの影響をあまり気にする必要がない。『デュエル・マスターズ パーフェクト ルール BOOK』など公式ガイドブックでも、S・トリガーをマナカーブに入らない別枠として扱っている。
  • 公式ホームページの「デッキ構築の3大原則」にはメインデッキに3マナ以下のカードを15枚、4マナから6マナのカードを11枚、7マナ以上のカードを6枚採用し、後の8枚としてS・トリガーを採用する「15・11・6の原則」との理論が紹介されている参考
●軽いカードはまとまった枚数を投入する

例えばマナブースト《フェアリー・ライフ》ドローソース《エナジー・ライト》は、その性質上序盤で使いたいカードである。これらのカードを安定して序盤に使用するならば、当然3、4枚入れなければうまく引いてくることはできない。

初心者が陥りがちなのは、コスト踏み倒し主体のデッキでコスト踏み倒ししないと使いづらいファッティばかり投入することである。【連ドラ】系統のデッキで連鎖的にクリーチャーを出した時の爆発力に傾倒した結果、デッキの潤滑油が足りなくなってキルターンが遅く事故率の高いデッキになってしまう、というのは間違ったデッキビルディングとしてよくあることである。

文明のバランスに気を付ける

デッキは基本的に文明が少ないほど安定しやすい。投入枚数が少ない文明色事故が起きる可能性が高まるため、最初はなるべく少ない文明デッキを構築することを考える。
5色や、タッチを利用するデッキでないならば、4色以上の構築は避けるべきである。また、序盤にマナブーストドローソースを使いたい場合、少なくともデッキの5分の2、15枚程度はその文明のカードを入れなければならない。多色カードを数枚挿したり(>マナ基盤)、S・トリガーの枠を調整するなど、事故防止に努めたい。
ただし、タッチで入れたマナ要員をサーチする場合など、文明のバランスが取れないことを補う何らかの手段がある場合はこの限りではない。

公式ホームページの「デッキ構築の3大原則」には「レインボーカードは8~15枚の中で!」との理論が紹介されている参考

S・トリガーを入れる

デュエマは基本的に相手ターン中への干渉手段に乏しいため、S・トリガーで防御を固めると良い。通常のデッキには8枚程度[1]必要で、これは公式ガイドブックにもしばしば記述される基本事項であり、公式ホームページの「デッキ構築の3大原則」にも紹介されている理論である参考速攻であっても4枚は欲しいところであり、【ビッグマナ】の場合はデッキの速度的に16枚程度必要なケースもある。

S・トリガーの枚数を確保する場合、手打ち、素出ししても強いS・トリガーを投入するのが基本。特にビッグマナではこの鉄則が重要になり、手打ち、素出しして効果が薄ければデッキパワーが落ちるし、マナコストが重すぎれば機動力を欠いてしまう。

デッキの質を上げるための応用 [編集]

1つのデッキとしての動きができるようになったら、より強いカードを投入したり、より安定してフィニッシュが狙える構築に調整していく。
基盤がしっかりしていればフィニッシュ力が多少低くてもゲーム運びの安定性で優位に立てることも少なくない。

カードプールを把握する

コンセプトが決まった場合、そのコンセプトに見合ったカードをいくつか組み合わせていくとよい。そのためには、現在使用可能なカードにどのようなものがあるのかきちんと把握するべきだろう。デッキレシピ投稿サイトなどでいくつかのレシピを見ながら相性のいいカードを調べていくと効率がいい。

カードプールを把握することの重要性を示す最たる例が下位互換を使わないこと、他のカードと差別化することであり、たとえそのカードに実用性があってもそれは同じことである。具体的には《“罰怒”ブランド》と共に使って3ターン目に6打点1ショットキルできるからといって《轟車 “G-突”》の実質的な下位互換に近い《“E-闘”ララッタ》を使ってはならないということである。ただ、5枚目以降の数合わせ採用、殿堂入りカードのリペアの場合はその限りではない。

汎用性を重視する

例えば、《異端流し オニカマス》を除去するためにマッハファイターを使用するなら、1コストと軽いがパワーが3000しかない上にクリーチャー攻撃以外の役割を持てない《ツクっちょ》よりも、パワーも高く破壊置換効果で自身をマナゾーンに置くことができるクリーチャー面がある上に呪文面でマナブーストできる《オブラディ・ホーネット/「Let it Bee!」》を使用することが望ましい。《異端流し オニカマス》を除去することよりもこちらもまた《異端流し オニカマス》を採用して相手のビートダウンの速度を下げることを優先するのも1つの手である。

類似性能のカードがあるとして、相手依存の要素がある場合はそちらが汎用性では劣っている。
例えば、同じキリフダッシュ4の自然ジョーカーズとして《熊四駆 ベアシガラ》《ジョリー・ザ・ジョニー・ザ・ダッシュ》が存在する。
後者はバトル勝利時であり、相手にバトルできるクリーチャーがない、タップインされて出たターンに攻撃できない、誰にもバトルに勝てないなどの要因で、即効性が失われるケースがある。前者はそのような心配はなく確実に2ブースト後に1枚マナ回収できる。

ただし、そのデッキのコンセプトや特定のカードに対する相性、環境の動向によってはその限りではない。特定の状況下でしか役に立たないカードでも、その状況下であれば勝利を決定づけるほどのカードパワーを発揮できるのであれば、デッキに入れる価値は十分。例えば前述の《ツクっちょ》でも、【緑単ベアフガン】なら採用されることは往々にして存在する。低コストなのが幸いして《獣軍隊 ベアッサー》進化侵略元にしやすいからである。

メインデッキの枠を空費しない

初心者にありがちな事として、メインデッキに持てる役割の少ない準バニラクリーチャーなどのカードをあれこれと詰め込み、デッキの汎用性を下げてしまう事が挙がる。そうならないために、単純なブロッカーマッハファイター超次元ゾーンから供給し、打点は超GRゾーンから用意するのが吉。こうしてメインデッキの枠を節約することで、初動カードなどの潤滑油の枚数を増やすことができ、デッキの安定性を上げることができる。

●複数の勝ち筋を用意する

例えば【白青黒超次元】では今引き《ポクチンちん》ドローされて墓地リセットされることを考慮して《ヴォルグ・サンダー》による山札破壊にフィニッシュ手段を依存せず、《超覚醒ラスト・ストーム XX》による1ショットキルという他の勝ち筋も用意すべきである。果てはコスト踏み倒しメタを考慮して《特攻人形ジェニー》などの自壊によるcip持ちを自壊させずにバトルゾーンに並べて1ショットキルするというプランまで考えられる。

種族を活かす

例えば《メイプル超もみ人》【グッドスタッフ】に入れるよりも【ジョーカーズ】系統に採用した方が種族を活かすことができ、さらに言えば【ジョーカーズ】はメインデッキのカードのサブタイプを40枚全てジョーカーズに統一するのが理想。【モルトNEXT】《メンデルスゾーン》《爆銀王剣 バトガイ刃斗》効果のヒット率を上げたりするためにメインデッキドラゴン比率を極限まで上げる必要があり、メインデッキのうち30枚がドラゴンという構築すらも珍しくない。それらのような極端な例でなくともコマンドドラゴンのサポートは豊富なので、なるべくそれらを活かせるようにしたい。

cipを利用する

クリーチャーは基本的にcipがあるものを優先する。そうすることで、出した時点で仕事を果たすパターンを増やすことができる。コスト踏み倒しメタ着地を邪魔されやすい環境であれば、猶更cipでアドバンテージを取ることが重要となる。

手札補充を利用する

ドローの手段が限られているデュエル・マスターズでは、カードを毎ターン使用しているとすぐに手札が尽きてしまう。今引き状態ではテンポアドバンテージが削がれてしまうので、手札を回復する手段を用意しておきたい。また、何らかのサーチカードを利用することで、自分の戦略をより円滑に進めやすくなる。コントロール系のデッキでは特に重要。

手札補充ドローソースが代表的だが、クリーチャーサルベージ呪文サルベージなど手札補充は各文明に存在する。

●フィニッシュ失敗時の保険を用意する

例えばワンショットを主な勝ち筋とするデッキの場合、タップイン持ちや相手に攻撃制限を課す能力持ちなどでワンショット失敗時の保険を掛けておくのが望ましい。同じ理由で、ニンジャ・ストライクも重宝される場合がある。ただし、呪文ロック召喚ロックなどで安全にワンショットできる場合などにおいてはその限りではない。

●オーバーキルな勝ち筋を採用しない

オーバーキルな勝ち筋を行使するために下準備を強いられて勝率が下がるぐらいなら、詰め方を適当なところで妥協してその分速やかなフィニッシュができるようにするのがベター。EXライフ持ちで延命しつつ耐性を活かして雑殴りするのは、まさしくその理屈に合致していると言える。呪文ロックすれば大体勝てる環境ならば、他に色々と能力がある分重い《古代楽園モアイランド》ではなくより軽く《ドンジャングルS7》でのコスト踏み倒しが効く《光神龍スペル・デル・フィン》を採用するのが1つの手。
《CRYMAX ジャオウガ》は1枚でリーサルに大きく近付きつつ、失敗してもハンデス確定除去で相手に負担をかけられることから重宝された。

シナジーを意識する場合、なるべく自然に組み合わせられるものにする

シナジーを形成するカードの組み合わせは無数に存在するが、単体ではプレイングの邪魔になったり、シナジーを形成するまでに手間がかかることもある。それが、たとえ即死コンボを生み出せるようなものでも、そのコンボが決まる前に負けてしまっては意味がない。デッキの安定感を落とさないような組み合わせを考えるべきである。

●勝ち筋に対する要求値を減らし、再現性を高める

初心者にありがちなデッキビルディングの失敗例としては、最速キルターンばかりを重視して手札要求値、再現性を考慮しないデッキを作ってしまうことである。そうならないために、初動カードは同型再販や類似スペックのものと合わせて8枚体制(もしくはそれ以上)とする、少ない手札要求値で安定して勝てるデッキを作る、などの努力が必要である。
その点【速攻】は一般に、1コストクリーチャーをふんだんに使って1コストクリーチャーの要求値を実質無条件にするという方法論を採用している。

メタゲームを意識したカード選び [編集]

デッキ自体の強さと理想的な動きが確立したら、今度は相手のカードを想定してさらなる調整を加える。

例えば、墓地利用系のデッキに苦労するなら、墓地利用メタ《ポクチンちん》《龍素記号Xf クローチェ・フオーコ》などを採用してみる。墓地肥やしするにしても長々と時間をかけて行う場合は墓地利用メタで対策された時の立て直しが難しくなるため、瞬時に墓地を肥やせるようにしよう。墓地に依存し過ぎないデッキビルディングも重要であり、2、3枚程度の墓地肥やしで動ければ丁度良いバランスであると言える。例えば【5色ドギラゴン剣】などでは《アクアン・メルカトール》で墓地を用意してから余り間を置かずにフィニッシュに入るのがベターであり、露骨に墓地肥やしすることで相手に墓地利用メタを合わせられないように封印外しとツインパクト呪文面の使用というさりげない方法だけで墓地肥やしを済ませるのも1つの手。

相手が使ってくるカードは環境によって変わってくるが、おおむね以下のようなことが共通する。

墳墓避けをしてみる

相手に《天使と悪魔の墳墓》を使われることを想定し、同じ性能ならばなるべく別の名前のカードを使用するのがよい。例えば、【ラムダビート】《幻緑の双月》《シビレアシダケ》《大冒犬ヤッタルワン》をそれぞれ2枚ずつ採用するなど。もちろん、種族デッキなど種族の統一や、同じカード名や同じ名称カテゴリを重視するデッキはその限りではない。

呪文に依存し過ぎない

呪文に対するメタカードは多い。《聖鎧亜クイーン・アルカディアス》《虚構の影バトウ・ショルダー》などの呪文メタに引っかかって何もできなくなったり、現在はプレミアム殿堂だが《ヴォルグ・サンダー》で大量に山札を削られる可能性がある。デッキクリーチャー比率をなるべく高めるか、呪文以外の除去を用意するなど、なんらかの対抗手段を用意するのが望ましい。

●低パワー軽量級クリーチャーに依存し過ぎない

低パワークリーチャーや軽量級クリーチャーはコスト火力全体除去に弱く、依存し過ぎると1枚の全体除去S・トリガーで頓挫することがある。フィニッシャーの存在が重視されるのはそういうところからでもある。もしどうしても軽量級や低パワークリーチャーへの依存度が高くなる場合は、呪文ロックなどのカウンター封じを利用するのが吉。

破壊による除去に依存し過ぎない

タップキル火力マッハファイターなど、破壊による除去はポピュラーであり、それ故にpig墓地回収などのケア手段も豊富である。【墓地ソース】のように相手の破壊除去をリソースに変換するようなデッキタイプまであるので、そうした部類にも注意する必要がある。そうしたことから、バウンスやマナ送りなどの、破壊以外の除去もある程度取り入れた方が良い。

●外部ゾーンのカードに依存しすぎない

超次元ゾーン超GRゾーンのカードもメタられることは多い。

下手をすれば《暴走龍 5000GT》《猛虎ライガー・ブレード》フィニッシャーを一掃されてしまうこともある。通常クリーチャーフィニッシャーも用意するか、それらメタカードへの対策を怠らないようにしたい。

特に、サイキック・クリーチャーコスト踏み倒しメタにも引っかかるため、これを主軸としたデッキは極めてメタゲームの壁に阻まれやすい。

GRメタ除去する手段はGRに依存しないものを利用しよう。やや冗談じみた話になるが、《イチゴッチ・タンク/レッツ・ゴイチゴ》はクリーチャー面がGRメタを立てられた時の最後のあがきに使えるため、【ドッカンデイヤー】【バーンメアジョーカーズ】に採用された面がある。

●対策カードを使ってみる

前述の「呪文」「破壊」「外部ゾーンのカード」に対する対策カード(メタカード)は、自分のデッキにも投入する事を考えた方が良い。
元々これらのカードは強力であるがゆえにピンポイントで対策されやすいのであり、自分が無策で挑むとその強力さに押し負ける事は必至。

この他、コスト踏み倒しメタ墓地利用メタなどの投入も検討できる。もちろんその妥当性は環境を支配しているデッキによって上下する。

●対策の対策をする

どうしても特定の(特に、メタられやすい)戦略を中心としてデッキを組みたいのであれば、相手がメタカードを使ってくることを想定し、それへの対策を盛り込むのが良い。

例えば、コスト踏み倒しを主体としてデッキを組んでいる時、コスト踏み倒しメタとして《異端流し オニカマス》が流行っていたとする。
これに対しては軽量の全体除去である《ゼンメツー・スクラッパー》メタカードとして適しているため、これを投入することである程度の対策ができる。

ただし、汎用性を損なわないようにするのが重要で、あまりピンポイントな対策カードは避けるべきである。

フルパワー理論 [編集]

デッキビルディングにおける考え方の1つ。デッキ全体を、なるべく自分の理想とするプレイング最速で実現できる構築にすることを目的にした理論。

「負け筋を減らすために防御札メタを多く入れるよりも、自分の理想の動きを素早く通せるカードを入れた方が、結果として勝率が高くなる」という発想から生まれたもの。
あくまでも、防御札メタカードの投入を考えるのは2の次というスタンスであって、決して防御札メタカードを入れてはいけないという訳ではない。

例えばビッグマナなら、防御札を抜くことでその枠でマナブースト手札補充を増やし、通常より更に安定して速くフィニッシャーを出せるようにできる。

フルパワー理論の考え方は以下の通り。

  1. デッキの動きを最大化・最速化できるカードのみで構築する
  2. もし、防御札メタカードを入れるなら、それもなるべくデッキの動きを滑らかにできるものにする
  3. 1と2をクリアしてもなおデッキスペースが空くのであれば、純粋な防御札メタカードを入れてもよい

防御札メタカードを一切入れずに、1の条件を達成するだけでも、環境で十分戦える構築になることもある。1の条件だけで構築されたデッキは、フルパワーと呼ばれる。
防御/メタとしての役割に加えて、ビートダウンであればアタッカーにも使えたり、コンボデッキであればコンボパーツにもなったりできるカードは2に当てはまる。
例えば、コスト踏み倒しメタで言うと《異端流し オニカマス》アンタッチャブルを活かして低コストアタッカーとして使用したり、呪文側のロックを目的に《奇石 ミクセル/ジャミング・チャフ》を採用するなど。要するに複数の役割を兼任できる汎用性が重要である。
相手の攻撃を確実に止める手段の代表カードであるS・トリガー《終末の時計 ザ・クロック》《閃光の守護者ホーリー》などは、防御札以外の役割が持てないことがほとんどのため、フルパワー理論では3.に当たるカードである。要するに、優先順位が最も低い。

  • フルパワー理論は、決してすべてのデッキに当てはまるわけではない。
    自分のデッキにおける最大の強みを押し付けて勝利を目指すビートダウンには当てはまるが、長期戦を前提とし、場面毎に理想のプレイングが変化するコントロールには当てはまりにくい。
    またコンボにおいても、そのコンボを始動して勝てる場面を作るためのカードを優先的に積む構築も存在するため、一概には言えない。

その他 [編集]

  • デッキにメインとなる文明以外のカードを少しだけ入れることを「タッチ」という。多くの文明のカードを採用することは動きの多様化につながるが、同時に事故の確率が高まるので、デッキの構築に慣れた上級者向けのテクニックである。
  • デッキの構築費用を抑えたい場合、あらかじめプロキシでテストプレイを行うとよい。本当に必要な枚数を把握してから買い揃えていくことで、余計な出費を減らすことができる。
  • 環境を目指すにあたっては、コピーデッキを試しに回してみることも有効である。実際の使用感覚を知ることで、適切なカードの選択や、弱点・欠点を知ることができるからである。

参考 [編集]

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[1] 理論上1枚はトリガーが盾に入る計算